はじめに

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2005年10月1日に三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスが合併して誕生した、日本最大・アジア最大級の総合金融グループです。東京証券取引所プライム市場に上場(証券コード:8306)し、総資産は350兆円超、世界50以上の国・地域に拠点を持ちます。

本記事では、2005年の設立以来、MUFGを率いてきた歴代社長・グループCEOを、根拠URLとともに完全網羅します。各社長の出身・経歴・在任中の主要施策を詳しく解説し、MUFGの経営史を一覧できる記事です。

参考:MUFG公式サイト


MUFGとは:設立の背景

MUFGの前身は、三菱東京フィナンシャル・グループ(三菱銀行・東京三菱銀行系)とUFJホールディングス(三和銀行・東海銀行・東洋信託銀行系)です。

2004年に両グループが経営統合を発表し、2005年10月1日に持株会社「三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)」が設立されました。翌2006年には傘下の銀行が合併して三菱東京UFJ銀行(2018年4月に三菱UFJ銀行へ改称)が発足し、「三菱銀行・東京銀行・三和銀行・東海銀行」という4つの源流を持つ巨大メガバンクが誕生しました。

参考:


MUFG歴代社長(グループCEO)一覧表

氏名在任期間主な出身行
初代畔柳信雄(くろやなぎ のぶお)2005年〜2010年三菱銀行
2代永易克典(ながやす かつのり)†2021年逝去2010年〜2013年三菱銀行
3代平野信行(ひらの のぶゆき)2013年〜2019年三菱銀行
4代三毛兼承(みけ かねつぐ)2019年〜2020年三菱銀行
5代亀澤宏規(かめざわ ひろのり)2020年〜2026年三菱銀行
6代(現職)半沢淳一(はんざわ じゅんいち)2026年4月〜三菱銀行

参考:


【初代】畔柳信雄(くろやなぎ のぶお)

在任期間:2005年10月〜2010年 出身:(旧三菱銀行。1965年入行)

在任中の主な功績:

  • 2005年10月:MUFG発足に伴い初代社長に就任
  • 前身の三菱東京フィナンシャル・グループ社長としてUFJホールディングスとの合併交渉を主導し、日本最大の金融グループを誕生させた
  • UFJホールディングスが抱えていた公的資金の完済を実現
  • 2006年:三菱東京UFJ銀行の初代頭取に就任し、持株会社社長と頭取を兼務してグループ統合を推進

⚠️ 注記(修正済み): 日経の叙勲記事(2021年)では畔柳氏の功績としてモルガン・スタンレーへの出資が言及されていますが、Wikipediaの一次情報ではこの出資決断(2008年)は当時頭取だった永易克典氏が主導したと記載されています(下記「永易克典」の項参照)。帰属に諸説あるため、本記事では両氏の在任・役職の事実のみ記載し、断定的な帰属表現は避けています。

参考:


【2代】永易克典(ながやす かつのり)

在任期間:2010年〜2013年 出身:東京大学法学部卒業(1970年三菱銀行入行) 生没年:1947年4月6日〜2021年5月3日(享年74歳)

愛媛県新居浜市出身。東京大学法学部を卒業後、1970年に旧三菱銀行に入行。主に企画部門・法人営業部門を歩んだ。2008年に三菱東京UFJ銀行の頭取に就任し、2010年からMUFGの社長を兼務しました。

主な経歴(Wikipedia・全銀協公式略歴より):

  • 1970年:三菱銀行入行
  • 2008年:三菱東京UFJ銀行 頭取就任
  • 2010年:三菱UFJフィナンシャル・グループ 社長就任(頭取兼任)
  • 2012年:三菱東京UFJ銀行 取締役会長
  • 2013年:MUFGグループ取締役を退任
  • 2021年5月3日:頸部食道がんにより逝去(享年74歳)

在任中の主な功績:

  • 2008年リーマンショック時、米モルガン・スタンレー救済のために90億ドル分(約9,000億円)の優先株を買い受ける決断を主導。金融危機の連鎖阻止に貢献し、現在のMUFGの収益基盤を築いた(Wikipedia「永易克典」より)
  • 2011年の東日本大震災に際して、全国銀行協会会長(2回目就任)として復興支援に尽力
  • 2013年のMUFG社長退任まで、グループ統合後の安定成長と財務体質の強化を推進

永易氏はその剛腕から「金融危機を止めた勝負師」(日本経済新聞 2021年7月)と称えられています。2021年5月3日に逝去し、同年12月22日のお別れの会には約1,400人が参列しました。

参考:


【3代】平野信行(ひらの のぶゆき)

在任期間:2013年〜2019年 出身:京都大学法学部卒業(1974年三菱銀行入行) 生年月日:1951年10月26日(岐阜県各務原市出身)

平野信行氏は岐阜県出身。京都大学法学部在学中は司法試験に挑戦するほどの秀才で、1974年に旧三菱銀行へ入行。入行後は国際部門を主戦場に、ブリュッセル・ニューヨーク駐在などを経験した国際派です。

主な経歴:

  • 1974年:三菱銀行入行
  • 2012年:三菱東京UFJ銀行 代表取締役頭取就任
  • 2013年:三菱UFJフィナンシャル・グループ 代表取締役社長就任
  • 2015年:代表執行役社長兼グループCEOに就任
  • 2016年:三菱東京UFJ銀行 代表取締役会長
  • 2019年:三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役会長
  • 2021年:三菱UFJ銀行 特別顧問

在任中の主な功績:

  • 2013年のMUFG社長就任後、グローバル戦略を本格推進
  • タイ・アユタヤ銀行(Bank of Ayudhya)の買収・統合によるアジア展開強化
  • 米モルガン・スタンレーとの関係深化(2015年よりモルガン・スタンレーの取締役を兼務)
  • 全国銀行協会会長(2017年〜)も務め、「グローバルトップ5」戦略を主導

平野氏は2019年10月に三菱みらい育成財団を設立し、理事長として教育支援活動にも携わっています。

参考:


【4代】三毛兼承(みけ かねつぐ)

在任期間:2019年4月〜2020年3月 出身:慶應義塾大学経済学部卒業(1979年三菱銀行入行)

三毛兼承氏は慶應義塾大学経済学部卒業後、1979年に旧三菱銀行に入行。米州本部長など国際部門での経験が豊富で、2017年6月に三菱東京UFJ銀行の頭取に就任しました。平野信行社長の後任として、2019年4月1日にMUFGの社長(兼頭取)に就任しました。

主な経歴(Wikipedia・全国銀行協会公式履歴書より):

  • 1979年:三菱銀行入行
  • 2009年:常務執行役員
  • 2013年:専務執行役員
  • 2016年:代表取締役副頭取
  • 2017年6月:三菱東京UFJ銀行 代表取締役頭取
  • 2018年4月:三菱UFJ銀行 代表取締役頭取(行名変更に伴う)
  • 2019年4月:三菱UFJフィナンシャル・グループ 取締役代表執行役社長兼CEO(頭取兼任)
  • 2020年:MUFG 取締役代表執行役副会長
  • 2021年〜現在:MUFG 取締役執行役会長(特別顧問も兼務)

在任中の主な動向:

就任期間は約1年間と短期でしたが、海外経験を活かした国際事業基盤の強化や人事制度の改定に取り組みました。日刊工業新聞は就任発表時に「海外経験が豊富な三毛氏を社長に起用し、国際事業基盤を磐石にする」と報じています。

参考:


【5代】亀澤宏規(かめざわ ひろのり)

在任期間:2020年4月〜2026年3月 出身:東京大学理学部数学科卒業・同大学院理学系研究科修了(1986年三菱銀行入行) 生年月日:1961年11月18日(宮崎県出身)

亀澤宏規氏はMUFGにとってメガバンク初の理系出身グループCEOとして大きな注目を集めました。宮崎県立宮崎西高等学校から東京大学理学部数学科に進み、大学院でも数学(整数論)を専攻。1986年に三菱銀行に入行しました。

主な経歴(Wikipedia・Bloomberg報道より):

  • 1984年:東京大学理学部数学科卒業
  • 1986年:東京大学大学院理学系研究科(数学専攻)修士課程修了、三菱銀行入行
  • 2014年:執行役員として米ニューヨーク駐在
  • 2016年〜:グループCDO(最高データ責任者)・グループCIO・グループCDTO(最高デジタルトランスフォーメーション責任者)を歴任
  • 2020年4月:三菱UFJフィナンシャル・グループ 取締役代表執行役社長グループCEO就任
  • 2026年4月:取締役執行役会長へ(現職)

在任中の主な功績:

  • 政策保有株式の売却目標を当初の3,500億円から7,000億円へ倍増させ、2024年3月末の簿価を半減させる削減を前倒し実行
  • 自己株式取得(上限2,500億円)と配当性向40%を軸とした株主還元強化
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を経営の中心に据え、グループのデジタル事業を本格稼働
  • 2024年に月額報酬の減額処分を受けるも、在任6年でMUFGの株価・収益性は大幅に改善

Bloomberg(2020年1月)は亀澤氏の登用について「理系出身・デジタル畑の亀澤社長の登用は『従来の王道から外れる異例の人事』で、メガバンク初の理系トップ」と報じました。

参考:


【6代・現職】半沢淳一(はんざわ じゅんいち)

在任期間:2026年4月〜現在 出身:埼玉県立浦和高校→東京大学経済学部卒業(1988年三菱銀行入行) 生年月日:1965年(埼玉県出身)

半沢淳一氏は2026年4月1日、亀澤宏規前社長の後任としてMUFGの第6代グループCEOに就任しました。1988年に東京大学経済学部を卒業し三菱銀行に入行。企画部門を軸にキャリアを積んだ「企画・管理畑」の経営者です。

「半沢淳一」という名前は、テレビドラマ「半沢直樹」の主人公と姓が同じであることから就任当初に話題となりましたが、本人とドラマは無関係です。

主な経歴(MUFG公式略歴・Wikipedia・週刊エコノミストインタビューより):

  • 1988年:東京大学経済学部卒業、三菱銀行入行
  • 2010年:千住支店長
  • 2012年:企画部長
  • 2014年6月:執行役員・企画部部長
  • 2018年5月:三菱UFJ銀行 常務執行役員・名古屋営業本部長
  • 2019年4月:常務執行役員CCO(コンプライアンス統括部等担当)兼CLO(法務部担当)
  • 2019年6月:取締役常務執行役員
  • 2021年4月:三菱UFJ銀行 頭取
  • 2022年7月〜2023年3月:全国銀行協会 会長
  • 2026年4月1日:三菱UFJフィナンシャル・グループ 取締役代表執行役社長グループCEO就任

就任後の方針:

週刊エコノミストのインタビューで半沢氏は「20年前のMUFG発足時に掲げた時価総額で世界の金融機関上位5社に入る『グローバルトップ5』を実現できるよう、道筋を付けていきたい」と語っています。中長期ROE目標として12%程度を掲げており、「構造改革から成長志向へのモードチェンジ」を経営の旗印としています。

また、頭取在任中に2021年4月から常務からの昇格という「異例の人事」で頭取に就いた経緯も注目されており、the-shashi.comは「企画・管理畑出身の経営者」と位置付けています。

参考:


MUFGの経営的特徴:「銀行頭取上がり」の社長人事

MUFGの歴代社長を通じて見えてくる重要な特徴が、「三菱UFJ銀行(前身の三菱東京UFJ銀行)の頭取経験者が社長を務める」という慣行です。

東洋経済オンラインは2020年の記事で「2005年10月に発足したMUFG社長は全員、三菱UFJ銀行の頭取を経験していた」と指摘しており、これは亀澤氏(5代社長)就任時に初めて崩れました。

亀澤氏は銀行頭取経験なしで社長に就任した初のMUFGトップであり、理系出身・デジタル推進派というキャラクターは、メガバンクの伝統的な人事慣行からの大きな転換を示しました。

参考: 東洋経済オンライン「三菱UFJ、異例づくしの新社長を待ち受ける難題」(2020年1月22日)


MUFGの会社概要(2026年時点)

項目内容
正式名称株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)
設立2005年10月1日(持株会社として)
本社所在地東京都千代田区丸の内2-7-1
事業内容銀行業・信託業・証券業・クレジットカード・リース・資産運用 等
主な子会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券HD、Morgan Stanley(株式23.3%保有)
総資産約350兆円超(グループ連結)
従業員数約15万人超(グループ連結、2020年時点)
上場東京証券取引所プライム市場(証券コード:8306)・ニューヨーク証券取引所(NYSE: MUFG)
現グループCEO半沢淳一(代表執行役社長)

参考:


MUFGとモルガン・スタンレーの関係

MUFGの歴史を語る上で欠かせないのが、米投資銀行モルガン・スタンレーとの関係です。

2008年のリーマンショック後、当時三菱東京UFJ銀行頭取だった永易克典氏が、モルガン・スタンレー救済のために90億ドル(約9,000億円)相当の優先株引き受けを主導しました(Wikipedia「永易克典」より)。この決断によりMUFGはモルガン・スタンレーの株式約23.3%を保有する筆頭株主となり、日米金融の架け橋となっています。この出資はMUFGにとって現在の主要な収益源のひとつとなっており、歴代社長が守り育ててきた重要な経営資産です。

参考:


まとめ

MUFGは2005年の設立からわずか20年で、世界有数の金融グループへと成長しました。歴代社長6名はいずれも旧三菱銀行出身者であり、三菱グループの伝統と国際金融業務の融合がMUFGの競争力の源泉となっています。

特に注目すべきは以下の3点です。

①グローバル展開の深化: 平野信行氏(3代)から三毛兼承氏(4代)にかけて、アジアを中心とした海外事業が本格化。タイ・アユタヤ銀行の統合やモルガン・スタンレーとの連携強化が実現しました。

②デジタル変革: 亀澤宏規氏(5代)がメガバンク初の理系CEOとして、MUFGのDXを牽引。金融とテクノロジーの融合を経営の柱に据えました。

③成長志向へのシフト: 現社長・半沢淳一氏(6代)は「グローバルトップ5」という発足当初の目標を再掲げ、構造改革から成長モードへの転換を宣言しています。

MUFGの今後の動向は、日本経済そのものの行方とも密接に関連します。引き続き注目です。


参考URL一覧



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