日本最大の総合電機メーカー・日立製作所。1920年の創業から現在まで、13名の社長が経営を担ってきました。本記事では、創業者・小平浪平氏から現社長・徳永俊昭氏まで、105年間の歴史を完全網羅します。
この記事で分かること:
- 日立製作所歴代社長13名の完全リスト
- 創業者・小平浪平の偉業と精神
- V字回復を実現した川村改革の真相
- 経団連会長を輩出した経営力
- 2025年就任の徳永俊昭新社長
目次
日立製作所とは?企業概要と歴史
基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
正式社名 | 株式会社日立製作所(Hitachi, Ltd.) |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 |
創業 | 1910年(明治43年) |
設立 | 1920年(大正9年)2月1日 |
創業者 | 小平浪平(おだいら なみへい) |
従業員数 | 約32万人(連結) |
売上高 | 約10兆円(2024年度) |
主要事業 | デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ |
日立の歴史的変遷
- 1910年:茨城県日立市で創業。5馬力モーター製作が原点
- 1920年:株式会社日立製作所として独立
- 1949年:東京証券取引所に上場
- 2009年:過去最大の赤字(約7,873億円)を記録
- 2010年代:V字回復を実現。社会イノベーション事業にシフト
- 2025年:徳永俊昭氏が新社長に就任
日立のロゴ「この木なんの木」のCMでもお馴染み。日本を代表する総合電機メーカーです。
歴代社長13名の完全一覧表
以下、1920年から現在まで105年間の歴代社長全リストです。
代 | 氏名 | 在任期間 | 特記事項 |
---|---|---|---|
初代 | 小平浪平 | 1920年~1947年 (専務:1920~1929年) | 🏆 創業者 「和」「誠」「開拓者精神」を理念に |
2代 | 倉田主税 | 1947年~1961年 | 戦後復興期の経営 |
3代 | 駒井健一郎 | 1961年~1971年 | 高度経済成長期 |
4代 | 吉山博吉 | 1971年~1981年 | - |
5代 | 三田勝茂 | 1981年~1991年 | - |
6代 | 金井務 | 1991年~1999年 | バブル崩壊後の対応 |
7代 | 庄山悦彦 | 1999年~2006年 | - |
8代 | 古川一夫 | 2006年~2009年 | リーマンショックの影響 |
9代 | 川村隆 | 2009年~2010年 | 🔥 7,873億円赤字からのV字回復 「川村改革」を断行 |
10代 | 中西宏明 | 2010年~2014年 | 🏆 後に経団連会長(第14代) 社会イノベーション事業へ転換 |
11代 | 東原敏昭 | 2014年~2021年 | DX・グリーン戦略推進 |
12代 | 小島啓二 | 2021年~2025年 | 「DXの申し子」と呼ばれる |
13代 | 徳永俊昭 | 2025年~現在 | 🔵 現社長 グローバル事業強化 |
創業者・小平浪平の偉業
初代社長:小平浪平(1920年~1947年)
🏆 日立の父・小平浪平
生涯と功績:
- 生誕:1874年(明治7年)3月9日
- 出身:兵庫県
- 学歴:東京帝国大学工科大学電気工学科卒業
- 経歴:東京電灯(現・東京電力)技師
創業の精神:
- 「和」:協調の精神
- 「誠」:誠実な心
- 「開拓者精神」:挑戦する姿勢
5馬力モーターから始まった日立の歴史
1910年(明治43年):創業のきっかけ
小平浪平は、茨城県日立鉱山で働いていた時、電気機械の国産化を目指しました。当時、日本は欧米からの輸入に頼っていました。
「日本の技術で、日本の産業を支える」
この志のもと、わずか5馬力のモーターを製作。これが日立製作所の原点です。
小平浪平の名言
「和を以て貴しとなす。協力一致してこそ、大きな事業を成し遂げられる」
この精神は、今も日立の企業文化として受け継がれています。
📚 日立の歴史を深く知る
おすすめ書籍:小平浪平の伝記・日立の歴史本
- 「小平浪平 日立製作所創業者の生涯」
- 「日立製作所の挑戦」
- 「日本の企業家シリーズ」
💡 これらの書籍は、日本の製造業の原点を学べる名著です。経営者・ビジネスパーソン必読。
危機からV字回復した川村改革
第9代社長:川村隆(2009年~2010年)
🔥 史上最大の赤字から奇跡のV字回復
危機の背景:
- 2009年3月期:連結最終赤字7,873億円
- 原因:リーマンショック、事業ポートフォリオの肥大化
- 状況:日本の製造業で最大級の赤字
川村改革の3本柱
施策 | 内容 |
---|---|
1. 事業の選択と集中 | • 不採算事業の撤退 • 社会インフラ事業へのシフト • 約9,000人の人員削減 |
2. 経営体質の改革 | • 本社費用の大幅削減 • 意思決定の迅速化 • 現場重視の経営 |
3. グローバル戦略 | • 海外売上比率の向上 • 現地化の推進 • M&A戦略の見直し |
川村改革の成果
2009年3月期
-7,873億円
過去最大の赤字
2010年3月期
+239億円
黒字転換
2011年3月期
+2,388億円
V字回復完了
わずか2年で黒字化。日本企業史上、類を見ない驚異的なスピード回復でした。
経団連会長・中西宏明氏の功績
第10代社長:中西宏明(2010年~2014年)
🏆 日立を社会イノベーション企業へ変革
主な功績:
- 事業構造の転換:「モノ売り」から「ソリューション提供」へ
- 社会イノベーション:インフラ・鉄道・エネルギー事業強化
- グローバル化:海外売上比率50%超を実現
- 経団連会長就任:2018年~2021年(第14代)
中西氏が推進した主な施策
施策 | 内容・成果 |
---|---|
英国鉄道事業買収 | 2015年、英国の高速鉄道車両メーカー買収。欧州市場への本格進出 |
IoT・AIの活用 | 「Lumada」プラットフォーム構築。データ活用ビジネス確立 |
グリーンエナジー | 再生可能エネルギー事業の強化。脱炭素社会への貢献 |
組織改革 | 執行役員制度の導入。意思決定の迅速化 |
経団連会長としての影響力
在任期間:2018年5月31日~2021年6月1日
主な政策提言:
- Society 5.0の推進(デジタル社会の実現)
- 働き方改革の推進
- グリーン成長戦略の提言
- コロナ禍における経済対策
注目発言:
「原子力発電については、国民の理解を得られなければ再稼働は難しい」
※健康上の理由により、2021年に任期途中で退任
2025年新社長・徳永俊昭氏
第13代社長:徳永俊昭(2025年~現在)
🔵 現社長プロフィール
氏名 | 徳永俊昭(とくなが としあき) |
生年 | 1964年生まれ |
就任 | 2025年4月 |
前職 | 副社長執行役・社長補佐 |
専門 | グローバル事業、インフラシステム |
徳永社長のミッション
🎯 今後の重点戦略
- グリーン&デジタル戦略の加速
- 脱炭素ソリューションの提供
- DXプラットフォーム「Lumada」の拡大
- スマートシティ事業の推進
- グローバル事業の強化
- 海外売上比率60%を目標
- 欧米・アジア市場での拡大
- 現地パートナーとの協業
- 収益性の向上
- 営業利益率10%超を目指す
- 高付加価値事業への集中
- コスト構造の最適化
2025年度の経営目標
項目 | 目標値 |
---|---|
売上収益 | 11兆円以上 |
営業利益率 | 10%以上 |
海外売上比率 | 60% |
ROE | 12%以上 |
日立の名品・おすすめ製品
日立製作所は、私たちの生活に身近な製品も数多く展開しています。
🏠 日立の人気家電製品
1. 冷蔵庫「真空チルド」シリーズ
特徴:
- 真空環境で鮮度を長期間キープ
- 大容量・省エネ設計
- 自動製氷機能
💡 おすすめポイント:食材の鮮度が長持ちする真空チルドが大人気。共働き家庭に最適。
2. ドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」
特徴:
- 風アイロン機能でシワを防ぐ
- AI自動運転で最適洗濯
- 大容量12kg対応
💡 おすすめポイント:風アイロン機能でアイロンがけの手間を削減。忙しい人に人気。
3. エアコン「白くまくん」シリーズ
特徴:
- 凍結洗浄で自動お掃除
- ステンレス・クリーンシステム
- AI快適制御
💡 おすすめポイント:自動お掃除機能が優秀。内部クリーンで清潔さを保てます。
4. 掃除機「パワーブーストサイクロン」
特徴:
- 強力吸引力
- 軽量コードレス
- スティック・ハンディ2WAY
💡 おすすめポイント:軽量で取り回しが良く、毎日の掃除が楽になります。
5. IH炊飯器「ふっくら御膳」
特徴:
- 圧力&スチーム機能
- 極上炊き分け機能
- 蒸気カット設計
💡 おすすめポイント:ふっくらもちもちのご飯が炊ける。米の種類に合わせた炊き分けが可能。
📚 経営者・ビジネスパーソン向けおすすめ書籍
📈 日立製作所への投資情報
証券コード | 6501(東証プライム) |
配当利回り | 約2%台(2025年時点) |
投資ポイント | • 社会インフラ事業の安定性 • グローバル展開 • DX・グリーン成長期待 |
🔍 日立株を購入するなら:
- SBI証券、楽天証券などのネット証券がおすすめ
- NISAでの長期保有に適している
- 優待はありませんが、配当は安定的
💡 投資は自己責任で:本記事は投資を推奨するものではありません。投資判断は各自の責任で行ってください。
日立グループの主要企業
日立製作所を中核とする日立グループ。約800社の関係会社を擁します。
企業名 | 主な事業 |
---|---|
日立Astemo | 自動車部品・モビリティ |
日立建機 | 建設機械の製造・販売 |
日立金属 | 特殊鋼・機能材料(2023年売却) |
日立ハイテク | 半導体製造装置・分析装置 |
日立エナジー | 電力システム・送配電 |
日立造船 | 環境・エネルギー(現在は独立) |
日立化成 | 化学製品(2020年昭和電工に売却) |
※注:近年、日立は「選択と集中」戦略により、グループ再編を積極的に進めています。
まとめ:日立105年の歴史から学ぶこと
1920年から現在まで、13名の社長が経営を担ってきた日立製作所。
📊 歴代社長から見る日立の変遷
🌅 創業期 (1920~1960年代) | 小平浪平の「和・誠・開拓者精神」が日立の基礎を築きました。5馬力モーターから始まり、総合電機メーカーへと成長。 |
📈 成長期 (1970年代~1990年代) | 高度経済成長からバブル期にかけて、日本経済とともに拡大。家電、重電、半導体など多角化を推進。 |
⚠️ 危機と改革 (2009年~2010年代) | リーマンショックで過去最大の赤字。川村改革により、わずか2年でV字回復。社会イノベーション企業への転換。 |
🚀 進化期 (2020年代~現在) | DX・グリーン戦略を軸に成長。徳永俊昭新社長のもと、グローバル企業としてさらなる飛躍を目指します。 |
歴代社長の功績ランキング
🥇 第1位
小平浪平
創業者(1920~1947年)
功績:
- 日立製作所を創業
- 「和・誠・開拓者精神」を確立
- 日本の産業発展に貢献
🥈 第2位
川村隆
第9代社長(2009~2010年)
功績:
- 7,873億円赤字からV字回復
- 事業構造改革を断行
- 「川村改革」で日立を救う
🥉 第3位
中西宏明
第10代社長(2010~2014年)
功績:
- 社会イノベーション企業への転換
- グローバル化を推進
- 経団連会長として活躍
日立から学べる経営の教訓
✅ 危機をチャンスに変える力
過去最大の赤字から2年でV字回復。迅速な意思決定と徹底した改革が重要。
✅ 時代に合わせた事業転換
「モノ売り」から「ソリューション提供」へ。市場の変化に柔軟に対応。
✅ 創業精神の継承
小平浪平の「和・誠・開拓者精神」は、105年経った今も日立の根幹。
✅ グローバル視点
海外売上比率60%を目指す。真のグローバル企業への進化。
2025年以降の日立に期待すること
期待される日立の役割:
- 🌍 脱炭素社会の実現:エネルギー・インフラ技術での貢献
- 🚄 スマートモビリティ:鉄道・自動車の次世代技術
- 💡 DXの推進:Lumadaプラットフォームの拡大
- 🏥 ヘルスケア:医療・ライフサイエンス分野での革新
- 🇯🇵 日本産業の牽引:製造業復権のリーダーシップ
徳永俊昭新社長のリーダーシップのもと、日立がさらなる飛躍を遂げることを期待します。
📚 参考資料・出典
株式会社日立製作所公式サイト
- 日本経済団体連合会「歴代会長」
- 川村隆著「V字回復の経営」
- 各種報道機関の報道資料
⚠️ 注意事項:
本記事は2025年9月時点の情報に基づいています。

