ビジネス

【2025年最新】FRB歴代議長完全一覧|初代から現職ジェローム・パウエルまで111年の歴史

世界経済に最も影響を与える中央銀行・米国連邦準備制度理事会(FRB)。1914年の設立から現在まで、16名の議長が米国の金融政策を担ってきました。本記事では、初代議長から現職のジェローム・パウエル議長まで、111年間の歴史を完全網羅します。

この記事で分かること:

  • FRB歴代議長16名の完全リスト(公式資料に基づく)
  • 各議長の在任期間と時代背景
  • FRBの役割と金融政策
  • 現議長・ジェローム・パウエル氏のプロフィール
  • FRB議長が世界経済に与える影響

📝 本記事の情報源:

  • FRB公式サイト:Board of Governors Members, 1914-Present
  • FRASER(セントルイス連銀):公式タイムライン
  • Federal Reserve History:歴史資料サイト
  • 米国議会公式サイト(Congress.gov)

目次

  1. FRBとは?概要と役割
  2. 歴代議長16名の完全一覧表
  3. 歴史に名を刻んだ名議長たち
  4. 現議長・ジェローム・パウエル氏
  5. FRB議長が世界経済に与える影響
  6. FRBの金融政策ツール

FRBとは?概要と役割

正式名称と設立経緯

項目内容
正式名称Board of Governors of the Federal Reserve System
(連邦準備制度理事会)
設立1913年(連邦準備法により設立)
1914年より業務開始
目的銀行危機への対応、信用供給、金融システムの安定化
構成理事7名(議長1名、副議長1名、監督担当副議長1名を含む)
任期理事:14年(ステージ制)
議長・副議長:4年(再任可能)
任命方法大統領が指名、上院が承認

FRBの主な任務

5つの主要機能:

  1. 金融政策の実施
    • 公開市場操作(国債の売買)
    • 政策金利の設定
    • 預金準備率の調整
  2. 銀行・金融機関の監督・規制
    • 銀行の健全性チェック
    • ストレステストの実施
  3. 金融システムの安定性確保
    • システミックリスクの監視
    • 金融危機への対応
  4. 支払決済システムの機能支援
    • 銀行間決済の円滑化
    • 決済システムの安全性確保
  5. 消費者保護・地域開発支援
    • 金融消費者の権利保護
    • 地域経済の発展支援

歴代議長16名の完全一覧表

以下は、FRB公式サイト、FRASER(セントルイス連銀)、Federal Reserve Historyなどの公式資料に基づく歴代議長の完全リストです。

⚠️ 重要な注意事項:

初期期(1914~1935年頃)は「Governor of the Board」という呼称が使われていました。Marriner Ecclesの時代に「Governor」から「Chairman」への名称変更が行われました。本記事では便宜上、全て「議長」と表記しています。

FRB歴代議長一覧

氏名在任期間時代背景・特記事項
1Charles Sumner Hamlin
チャールズ・サムナー・ハムリン
1914年8月10日~
1916年8月9日
初代議長
FRB設立と同時に就任
第一次世界大戦期
2William P. G. Harding
ウィリアム・P・G・ハーディング
1916年8月10日~
1922年8月9日
第一次世界大戦終結(1918年)
当時の呼称:Governor of the Board
3Daniel R. Crissinger
ダニエル・R・クリッシンガー
1923年5月1日~
1927年9月15日
狂騒の20年代(Roaring Twenties)
4Roy A. Young
ロイ・A・ヤング
1927年10月4日~
1930年8月31日
1929年大恐慌発生
5Eugene Meyer
ユージン・マイヤー
1930年9月16日~
1933年5月10日
大恐慌期
銀行危機対応
6Eugene R. Black
ユージン・R・ブラック
1933年5月19日~
1934年8月15日
ニューディール政策期
短期間での交代
7Marriner S. Eccles
マリナー・S・エクルズ
1934年11月15日~
1948年1月31日
🏆 約13年の長期在任
「Governor」→「Chairman」名称移行
第二次世界大戦期
8Thomas B. McCabe
トーマス・B・マッケイブ
1948年4月15日~
1951年3月31日
戦後復興期
朝鮮戦争(1950年開始)
9William McChesney Martin, Jr.
ウィリアム・マッチェスニー・マーティン・ジュニア
1951年4月2日~
1970年1月31日
🏆 在任期間最長(約19年)
5人の大統領に仕えた
「FRBの独立性」を確立
10Arthur F. Burns
アーサー・F・バーンズ
1970年2月1日~
1978年1月31日
ニクソンショック(1971年)
オイルショック(1973年)
スタグフレーション期
11G. William Miller
G・ウィリアム・ミラー
1978年3月8日~
1979年8月6日
短期間での交代
高インフレ期
12Paul A. Volcker
ポール・A・ボルカー
1979年8月6日~
1987年8月11日
🏆 「インフレの征服者」
政策金利を20%超に引き上げ
インフレ抑制に成功
13Alan Greenspan
アラン・グリーンスパン
1987年8月11日~
2006年1月31日
🏆 約18年半の長期在任
「金融の魔術師」と呼ばれる
ITバブル、同時多発テロ対応
14Ben S. Bernanke
ベン・S・バーナンキ
2006年2月1日~
2014年1月31日
🏆 リーマンショック対応
量的緩和(QE)の導入
2022年ノーベル経済学賞受賞
15Janet L. Yellen
ジャネット・L・イエレン
2014年2月3日~
2018年2月3日
🏆 FRB初の女性議長
利上げサイクルの開始
現・米国財務長官
16Jerome H. Powell
ジェローム・H・パウエル
2018年2月5日~
現在
🔵 現職
コロナ禍対応
歴史的インフレへの対応
急速な利上げサイクル

📌 補足事項:

  • 在任期間最長:William McChesney Martin, Jr.(約19年)
  • 初の女性議長:Janet L. Yellen(第15代)
  • ノーベル経済学賞受賞:Ben S. Bernanke(2022年)
  • 現職のJerome H. Powellの退任日は未定(2025年1月時点)

歴史に名を刻んだ名議長たち

William McChesney Martin, Jr.(第9代)

🏆 「FRBの独立性」を確立した伝説の議長

在任期間:1951年~1970年(約19年)

主な功績:

  • 5人の大統領(トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン)に仕えた
  • FRBの政治からの独立性を確立
  • 「宴会が盛り上がっている時にパンチボウルを片付けるのが仕事」という名言

Paul A. Volcker(第12代)

🏆 「インフレの征服者」

在任期間:1979年~1987年

主な功績:

  • 1970年代の二桁インフレを克服
  • 政策金利を20%超まで引き上げる「ボルカーショック」
  • 短期的な景気後退を容認してでもインフレを抑制
  • FRB議長としての強い信念と決断力で知られる

Alan Greenspan(第13代)

🏆 「金融の魔術師」

在任期間:1987年~2006年(約18年半)

主な功績:

  • 1987年ブラックマンデー直後に議長就任、危機を収束
  • 1990年代の長期景気拡大を支えた
  • ITバブル崩壊、9.11同時多発テロへの対応
  • 「グリーンスパンスピーク」と呼ばれる曖昧な発言スタイルで有名

Ben S. Bernanke(第14代)

🏆 リーマンショックの舵取り役

在任期間:2006年~2014年

主な功績:

  • 2008年リーマンショックへの対応
  • 量的緩和(QE: Quantitative Easing)の導入
  • ゼロ金利政策の実施
  • 2022年ノーベル経済学賞受賞(銀行と金融危機に関する研究)

現議長・ジェローム・パウエル氏

ジェローム・パウエル議長プロフィール

🔵 第16代FRB議長

氏名Jerome Hayden Powell(ジェローム・ヘイデン・パウエル)
生年月日1953年2月4日
年齢71歳(2025年1月現在)
出身米国ワシントンD.C.
学歴プリンストン大学政治学部卒業
ジョージタウン大学ロースクール法学博士
経歴投資銀行カーライル・グループパートナー
2012年 FRB理事就任
2018年 FRB議長就任
初就任2018年2月5日
現在2期目在任中(2022年~)

パウエル議長時代の主な出来事

🎯 重要な政策決定

1. コロナ禍への対応(2020年)
  • 緊急利下げ(ゼロ金利政策)
  • 量的緩和(QE)の再開
  • 企業向け緊急融資プログラム
  • 「あらゆる手段を使う」と宣言
2. 歴史的インフレへの対応(2022年~)
  • 40年ぶりの高インフレ(8%超)
  • 急速な利上げサイクル(2022年3月~)
  • 政策金利を5.25~5.50%まで引き上げ
  • 「インフレとの戦いは終わっていない」
3. 金融システムの安定維持(2023年)
  • シリコンバレー銀行破綻への対応
  • 地方銀行危機の封じ込め
  • 預金保護と流動性供給

パウエル議長の特徴

✅ 明快なコミュニケーション

グリーンスパンの「曖昧な発言」とは対照的に、明確で分かりやすい説明を心がけています。

✅ 経済学者ではない初のFRB議長

弁護士・投資銀行出身。経済学博士号を持たない初の現代FRB議長です。

✅ 超党派の支持

共和党のトランプ大統領が指名、民主党のバイデン大統領が再任。両党から支持を得ています。

FRB議長が世界経済に与える影響

「世界で最も影響力のある人物」と呼ばれる理由

FRB議長の決定が世界経済に与える影響:

  1. 米ドルへの影響
    • 政策金利の変更は米ドルの価値に直結
    • 世界の基軸通貨である米ドルの動きは全世界に波及
  2. 株式市場への影響
    • FRB議長の発言一つで株価が大きく変動
    • 「パウエル・ショック」など市場用語も存在
  3. 各国中央銀行への影響
    • FRBの政策は各国中央銀行の政策に影響
    • 日銀、ECB、BOEなども追随する傾向
  4. 新興国経済への影響
    • 米国の利上げは新興国から資金流出を引き起こす
    • 新興国通貨の下落リスク

FRBの金融政策ツール

FRBが使用する主な政策手段

政策ツール内容
政策金利(FF金利)• 銀行間取引の短期金利
• 経済全体の金利水準に影響
• 最も基本的な政策ツール
公開市場操作(OMO)• 国債の売買による資金供給量の調整
• 市場の流動性をコントロール
量的緩和(QE)• 大規模な資産購入プログラム
• リーマンショック後に本格導入
• バーナンキ、イエレン、パウエル時代に使用
フォワードガイダンス• 将来の政策方針を事前に示す
• 市場の期待形成に影響
• 透明性の向上
準備預金金利• 銀行がFRBに預ける資金への金利
• 金融引き締め・緩和の調整弁

まとめ:FRB111年の歴史と未来

1914年の設立から現在まで、FRBは16名の議長のもと、米国および世界経済の安定に貢献してきました。

📊 時代別のFRB議長

🌅 設立初期
(1914~1930年代)
Charles Hamlin(初代)から始まり、第一次世界大戦、大恐慌という未曾有の危機に対応。中央銀行としての役割を模索した時代。
📈 独立性の確立
(1950年代~1970年代)
William McChesney Martin(第9代)が「FRBの独立性」を確立。政治から距離を置き、長期的視点での金融政策を実現しました。
🔥 インフレとの戦い
(1970年代~1980年代)
Paul Volcker(第12代)が二桁インフレを克服。「ボルカーショック」は中央銀行の決断力の象徴となりました。
🌍 グローバル化時代
(1987年~2006年)
Alan Greenspan(第13代)が約18年半の長期政権。ITバブル、同時多発テロなど、複雑化する経済に対応しました。
💥 金融危機対応
(2006年~2014年)
Ben Bernanke(第14代)がリーマンショックに対応。量的緩和(QE)という新しい政策ツールを導入し、世界恐慌級の危機を回避しました。
🚀 新時代の挑戦
(2014年~現在)
Janet Yellen(初の女性議長)、Jerome Powell(現職)が、コロナ禍、歴史的インフレ、銀行危機など、次々と襲う危機に対応しています。

FRB議長に求められる資質

✅ 経済的洞察力

複雑な経済データを読み解き、先を見通す能力。インフレ、雇用、成長のバランスを判断します。

✅ 政治的独立性

大統領や議会からの圧力に屈しない強い意志。長期的視点での判断が求められます。

✅ コミュニケーション能力

複雑な金融政策を市場と国民に分かりやすく説明する力。透明性が重要視される現代において不可欠です。

✅ 危機対応力

予期せぬ金融危機や経済ショックに冷静かつ迅速に対応する能力。バーナンキ、パウエルが実証しました。

✅ 国際的視野

米国経済だけでなく、世界経済全体を見渡す広い視野。グローバル化した現代経済では必須です。

今後のFRBが直面する課題

FRBの未来への挑戦:

  • 💰 インフレとの長期的な戦い:2%目標の持続的達成
  • 💻 デジタル通貨(CBDC):デジタルドルの是非
  • 🌍 気候変動リスク:金融システムへの影響評価
  • ⚖️ 金融格差:包摂的な経済成長の実現
  • 🏦 金融システムの安定:新たな金融危機への備え
  • 🤝 国際協調:各国中央銀行との連携強化

FRB議長の名言集

William McChesney Martin, Jr.:

「FRBの仕事は、宴会が盛り上がっている時にパンチボウルを片付けることだ」

(経済が過熱した時に引き締めるのがFRBの役割という意味)

Paul Volcker:

「インフレの期待が形成されると、それを払拭するのは極めて困難だ」

Alan Greenspan:

「もし私の発言があまりにも明快だったら、あなたは私を誤解している」

(グリーンスパンスピークの真髄)

Ben Bernanke:

「金融政策は科学ではなく芸術だ」

Jerome Powell:

「インフレとの戦いは終わっていない。我々の仕事は完了していない」


📚 参考資料・出典

  • Federal Reserve System:Board of Governors Members, 1914-Present(公式サイト)
  • FRASER (Federal Reserve Archival System for Economic Research):セントルイス連銀公式タイムライン
  • Federal Reserve History:歴史資料サイト
  • Congress.gov:米国議会公式サイト
  • Investopedia:金融用語解説

⚠️ 重要な注意事項:

本記事は2025年1月時点の情報に基づき、FRB公式サイト、FRASER、Federal Reserve History、米国議会公式サイトなど複数の公式資料を参照して作成しています。初期期(1914~1935年頃)の議長の呼称は「Governor of the Board」から「Chairman」への移行期があり、資料により表記が異なる場合があります。現職のJerome H. Powellの退任日は未定です(2025年1月時点)。


【2025年最新】経団連歴代会長一覧表|16代77年の変遷と影響力を徹底解説 日本経済界の頂点に立つ「経団連会長」。2025年5月29日、第16代会長として筒井義信氏(日本生命保険取締役)が就任し、注目を集めてい...
世界の企業売上ランキング
【2021年版】世界の企業売上ランキング 世界の企業売上ランキング Top30 この記事は2021年度の世界の企業の売上順位上位30社をまとめた記事です。※Statist...
最新記事