日本を代表する総合電機メーカー・東芝。1939年の東京芝浦電気発足から現在まで、22名の社長が経営を担ってきました。本記事では、初代・山口喜三郎氏から現社長・島田太郎氏まで、86年間の歴史を完全網羅します。
この記事で分かること:
- 東芝歴代社長22名の完全リスト
- 経団連会長を輩出した名経営者たち
- 不適切会計問題と経営危機の真相
- 上場廃止から現在までの再建過程
目次
東芝とは?企業概要と歴史
基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
正式社名 | 株式会社東芝(TOSHIBA CORPORATION) |
本社所在地 | 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 |
設立 | 1939年(昭和14年) |
上場廃止 | 2023年12月20日 |
主要事業 | エネルギーシステム、インフラシステム、デバイス&ストレージ |
社名の変遷
- 1939年:東京電気と芝浦製作所が合併し「東京芝浦電気株式会社」設立
- 1984年:社名を「株式会社東芝」に変更
- 2023年:東京証券取引所プライム市場上場廃止
社名の「東芝」は、「東京芝浦電気」の略称です。
歴代社長22名の完全一覧表
以下、1939年から現在まで86年間の歴代社長全リストです。
東京芝浦電気時代(1939年~1984年)
代 | 氏名 | 在任期間 | 特記事項 |
---|---|---|---|
初代 | 山口喜三郎 | 1939年~1943年 | 東京芝浦電気発足時の初代社長 |
2代 | 津守豊治 | 1943年~1947年 | 戦時体制下の経営 |
3代 | 新開広作 | 1947年~1949年 | 戦後復興期 |
4代 | 石坂泰三 | 1949年~1957年 | 🏆 後に経団連会長(第2代) |
5代 | 岩下文雄 | 1957年~1965年 | 高度経済成長期 |
6代 | 土光敏夫 | 1965年~1972年 | 🏆 後に経団連会長(第4代) 「行革の鬼」として有名 |
7代 | 玉置敬三 | 1972年~1976年 | - |
8代 | 岩田弐夫 | 1976年~1980年 | - |
9代 | 佐波正一 | 1980年~1986年 | 社名変更(1984年)時の社長 |
株式会社東芝時代(1984年~現在)
代 | 氏名 | 在任期間 | 特記事項 |
---|---|---|---|
10代 | 渡里杉一郎 | 1986年~1987年 | 短期間での交代 |
11代 | 青井舒一 | 1987年~1992年 | バブル期の経営 |
12代 | 佐藤文夫 | 1992年~1996年 | バブル崩壊後の対応 |
13代 | 西室泰三 | 1996年~2000年 | 後に経団連副会長 |
14代 | 岡村正 | 2000年~2005年 | 後に日本商工会議所会頭 |
15代 | 西田厚聰 | 2005年~2009年 | - |
16代 | 佐々木則夫 | 2009年~2013年 | 原子力事業強化 |
17代 | 田中久雄 | 2013年~2015年 | ⚠️ 不適切会計問題発覚 |
18代 | 室町正志 | 2015年~2016年 | 不適切会計後の暫定体制 |
19代 | 綱川智 | 2016年~2020年 | 東芝メモリ売却など大規模再編 |
20代 | 車谷暢昭 | 2020年~2021年 | 短期間での辞任 |
21代 | 綱川智 | 2021年~2022年 | 再登板 |
22代 | 島田太郎 | 2022年~現在 | 🔵 現社長 上場廃止後の再建 |
黄金期を築いた名経営者たち
第4代:石坂泰三(1949年~1957年)
🏆 経団連第2代会長を務めた伝説の経営者
主な功績:
- 戦後復興期の東芝を立て直し
- 社長退任後、経団連会長に就任(1956年~1968年)
- 約12年間、経団連会長として財界をリード
- 「財界天皇」と呼ばれた
経営スタイル:
トップダウン型の強力なリーダーシップ。高度経済成長期の日本経済を牽引しました。
第6代:土光敏夫(1965年~1972年)
🏆 「行革の鬼」として歴史に名を残す
主な功績:
- 減配続きの東芝を再建
- 「モーレツ経営」で知られる
- 社長就任時の挨拶:「社員は3倍、役員は10倍、俺はそれ以上働く」
- 後に経団連会長(1974年~1980年)
- 臨時行政調査会会長として行政改革を主導
経営スタイル:
自らが率先して働く姿勢。「メザシの土光さん」として質素な生活でも有名でした。
第13代:西室泰三(1996年~2000年)
💼 IT時代の東芝を牽引
主な功績:
- インターネット時代への対応
- ノートパソコン事業の強化
- 後に経団連副会長(2006年~2008年)
- 日本郵政社長も歴任
不適切会計問題と経営危機
2015年:東芝を揺るがした不適切会計問題
⚠️ 日本企業史上最大級の会計不祥事
問題の概要:
- 発覚時期:2015年
- 不正期間:2008年度~2014年度の7年間
- 過大計上額:約2,248億円
影響:
- 歴代3社長(西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄)が引責辞任
- 東証から特設注意市場銘柄に指定
- 株価が大幅下落
- 企業イメージの大幅な悪化
経営危機への対応
時期 | 社長 | 主な施策 |
---|---|---|
2015年 | 室町正志 | • 経営陣の刷新 • 事業再編計画の策定 |
2016~2020年 | 綱川智 | • 東芝メモリ(現キオクシア)売却 • 白物家電事業売却 • テレビ事業売却 • 医療機器事業売却 |
2020~2021年 | 車谷暢昭 | • 外部人材による改革試み • 短期間で辞任 |
2021~2022年 | 綱川智(再登板) | • 非上場化の検討 • JIP主導での買収決定 |
2022年~現在 | 島田太郎 | • 上場廃止の実施(2023年12月) • 事業再構築 |
主要事業の売却
💾 半導体メモリ事業
売却先:日米韓連合
売却額:約2兆円
時期:2018年
🏠 白物家電事業
売却先:中国・美的集団
時期:2016年
📺 テレビ事業
売却先:ハイセンス
時期:2017年
🏥 医療機器事業
売却先:キヤノン
時期:2016年
現在の東芝と島田太郎社長
第22代社長:島田太郎氏
🔵 現社長プロフィール
氏名 | 島田太郎(しまだ たろう) |
就任 | 2022年 |
経歴 | 三井住友銀行出身 |
ミッション | 上場廃止後の東芝再建 |
2023年12月:東京証券取引所上場廃止
2023年12月20日、東芝は74年の上場歴史に幕を閉じました。
上場廃止の経緯:
- JIP(日本産業パートナーズ)が中心となる国内連合による買収
- TOB(株式公開買付け)実施
- 非上場化により中長期的な視点での再建を目指す
現在の事業構成
事業分野 | 主な内容 |
---|---|
🔋 エネルギーシステム | • 原子力発電 • 火力発電 • 水力発電 • 再生可能エネルギー |
🏗️ インフラシステム | • 公共インフラ • ビルソリューション • 鉄道システム |
💾 デバイス&ストレージ | • HDD(ハードディスク) • 半導体 • ストレージソリューション |
💡 デジタルソリューション | • ITサービス • IoTソリューション • AIソリューション |
経団連会長を輩出した影響力
東芝は、日本の財界で大きな影響力を持ち続けてきました。
🏆 財界への貢献
東芝社長 | 財界での役職 | 期間 |
---|---|---|
石坂泰三 (第4代社長) | 経団連会長(第2代) | 1956年~1968年 (約12年) |
土光敏夫 (第6代社長) | 経団連会長(第4代) | 1974年~1980年 (6年) |
西室泰三 (第13代社長) | 経団連副会長 | 2006年~2008年 |
岡村正 (第14代社長) | 日本商工会議所会頭 | 2007年~2013年 |
特筆事項:経団連会長を2名輩出したのは、新日本製鐵(現・日本製鉄)の3名に次ぐ実績です。
東芝の未来展望
再建に向けた戦略
🎯 今後の重点分野
- エネルギー事業の強化
- 脱炭素社会への対応
- 再生可能エネルギーへの投資
- 水素エネルギー技術開発
- インフラ事業の拡大
- スマートシティ構想
- 鉄道システムの海外展開
- ビルエネルギー管理システム
- デジタル技術の活用
- AI・IoTソリューション
- 量子コンピューティング研究
- サイバーセキュリティ強化
課題と展望
現在の課題 | 今後の展望 |
---|---|
📉 ブランドイメージの回復 不適切会計問題の影響 | 📈 信頼の再構築 透明性の高い経営体制 |
💰 収益性の改善 事業売却後の収益基盤 | 💡 高付加価値事業への集中 選択と集中戦略 |
👥 人材の確保 優秀な人材の流出防止 | 🌟 企業文化の刷新 イノベーション重視の組織 |
🌍 国際競争力 グローバル市場でのシェア | 🚀 新技術への投資 次世代技術でのリーダーシップ |
島田社長のミッション
島田太郎社長に求められること:
- 財務基盤の安定化:非上場企業としての健全経営
- 事業ポートフォリオの最適化:収益性の高い事業への注力
- 企業文化の改革:過去の負の遺産からの脱却
- 成長戦略の実行:新たな東芝ブランドの確立
まとめ:東芝86年の歴史から学ぶこと
1939年から現在まで、22名の社長が経営を担ってきた東芝。
📊 歴代社長から見る東芝の変遷
🌅 黄金期 (1949~1980年代) | 石坂泰三、土光敏夫といった名経営者が東芝を世界的企業に成長させました。経団連会長を2名輩出し、日本経済界での影響力は絶大でした。 |
📈 成長期 (1980年代~2000年代) | IT革命に対応し、ノートパソコン、半導体メモリなどで世界トップクラスのシェアを獲得。日本を代表する総合電機メーカーとして地位を確立しました。 |
⚠️ 危機期 (2015年~2023年) | 不適切会計問題の発覚により、企業の存続自体が危ぶまれる状況に。主要事業の売却、上場廃止という大きな転換点を迎えました。 |
🔄 再生期 (2023年~現在) | 島田太郎社長のもと、非上場企業として新たなスタート。エネルギー・インフラ事業を中核に、信頼回復と成長戦略の実現に取り組んでいます。 |
歴代社長の功績ランキング
🥇 第1位
石坂泰三
第4代社長(1949~1957年)
功績:
- 戦後復興期の東芝を再建
- 経団連会長として財界をリード
- 「財界天皇」と称された
🥈 第2位
土光敏夫
第6代社長(1965~1972年)
功績:
- 減配続きの東芝を再建
- 「行革の鬼」として歴史に名を残す
- 質素倹約の経営姿勢
🥉 第3位
西室泰三
第13代社長(1996~2000年)
功績:
- IT時代への対応を主導
- ノートPC事業を世界トップに
- 経団連副会長として活躍
教訓:企業統治の重要性
不適切会計問題が示したこと:
- ✅ 透明性の確保:適切な情報開示と内部統制
- ✅ コンプライアンス:法令遵守の徹底
- ✅ ガバナンス強化:社外取締役の活用
- ✅ 企業文化の改革:健全な組織風土の醸成
未来への期待
東芝は、創業以来140年以上の歴史を持つ日本を代表する企業です。
期待される東芝の役割:
- 🌍 脱炭素社会の実現:エネルギー技術での貢献
- 🏗️ 社会インフラの革新:スマートシティの実現
- 💡 次世代技術の開発:量子コンピューティング、AI
- 🇯🇵 日本産業の牽引:製造業の復権
島田太郎社長のリーダーシップのもと、東芝が再び日本経済を牽引する存在となることを期待します。
📚 参考資料・出典
- 系譜学「東芝・歴代社長」
- 株式会社東芝公式サイト
- 日本経済団体連合会「歴代会長」
- 各種報道機関の報道資料
⚠️ 注意事項:
本記事は2025年9月時点の情報に基づいています。歴代社長の在任期間や功績については、複数の信頼できる情報源を参照し作成していますが、細部の詳細については公式サイト等でご確認ください。
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