世界の化粧品業界は、パンデミックからの回復と新興市場の成長により、2024年も堅調な成長を続けています。この記事では、2024年度の世界の化粧品メーカー売上上位20社をまとめました。
※2024年の最新データに基づき、各社の化粧品関連部門の売上高をまとめています。為替レートは2024年7月時点(1USD = 150円)で計算しています。
世界の化粧品メーカー売上ランキング
順位 | 企業名 | 本社 | 売上 (Beauty部門) | 代表ブランド |
---|---|---|---|---|
1 | ロレアル (L’OREAL) |
フランス | 約6兆6,800億円 (445.3億ドル) |
・ロレアルパリ(L’Oréal Paris) ・メイベリンニューヨーク(Maybelline New York) ・ランコム(Lancôme) ・イヴ・サンローラン(YSL) ・キールズ(Kiehl’s) ・ジョルジオアルマーニ(Giorgio Armani) ・アーバンディケイ(Urban Decay) ・ガルニエ(Garnier) |
2 | ユニリーバ (Unilever) |
イギリス | 約3兆9,200億円 (261.5億ドル) |
・ダヴ(Dove) ・ラックス(LUX) ・ポンズ(POND’S) ・ヴァセリン(Vaseline) ・トレセメ(TRESemmé) ・アックス(AXE) ・クリア(Clear) |
3 | エスティーローダー (Estée Lauder) |
アメリカ | 約2兆2,800億円 (152億ドル) |
・エスティーローダー(Estée Lauder) ・クリニーク(CLINIQUE) ・M·A·C(MAC) ・ボビイブラウン(Bobbi Brown) ・トムフォードビューティ(Tom Ford Beauty) ・ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London) ・アヴェダ(Aveda) ・ラ・メール(La Mer) |
4 | プロクター&ギャンブル (P&G) |
アメリカ | 約2兆2,500億円 (150億ドル) |
・SK-II ・オレイ(Olay) ・パンテーン(Pantene) ・ヘッド&ショルダーズ(Head & Shoulders) ・ハーバルエッセンス(Herbal Essences) ・ジレット(Gillette) |
5 | LVMH (モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) |
フランス | 約1兆3,400億円 (89.4億ドル) |
・ディオール(Dior) ・ゲラン(Guerlain) ・ジバンシィ(Givenchy) ・メイクアップフォーエバー(MAKE UP FOR EVER) ・フレッシュ(Fresh) ・フェンティビューティ(Fenty Beauty) |
6 | シャネル (Chanel) |
フランス | 約1兆2,500億円 (83.2億ドル) |
・シャネル(CHANEL) |
7 | バイヤスドルフ (Beiersdorf) |
ドイツ | 約1兆2,200億円 (81.4億ドル) |
・ニベア(NIVEA) ・ラプレリー(La Prairie) ・ユーセリン(Eucerin) ・アクアフォア(Aquaphor) ・コパトーン(Coppertone) |
8 | 資生堂 (Shiseido) |
日本 | 約1兆400億円 (69.4億ドル) |
・SHISEIDO ・クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté) ・NARS ・イプサ(IPSA) ・エリクシール(ELIXIR) ・マキアージュ(MAQUillAGE) ・アネッサ(ANESSA) |
9 | ナチュラ&Co (Natura&Co) |
ブラジル | 約9,600億円 (63.9億ドル) |
・Avon ・Natura ・Aesop |
10 | コティ (Coty) |
アメリカ | 約9,200億円 (61億ドル) |
・グッチビューティ(Gucci Beauty) ・バーバリー(Burberry) ・カルバンクライン(Calvin Klein) ・クロエ(Chloé) ・ミュウミュウ(miu miu) |
11 | ジョンソン&ジョンソン (Johnson&Johnson) |
アメリカ | 約8,100億円 (54億ドル) |
・ニュートロジーナ(Neutrogena) ・アヴィーノ(Aveeno) ・クリーン&クリア(Clean&Clear) ・OGX |
12 | 花王 (Kao) |
日本 | 約7,500億円 (50億ドル) |
・ソフィーナ(SOFINA) ・カネボウ(KANEBO) ・KATE ・プリマヴィスタ(Primavista) ・キュレル(Curel) ・ビオレ(Bioré) |
13 | コーセー (Kose) |
日本 | 約3,800億円 (25.3億ドル) |
・デコルテ(DECORTÉ) ・アルビオン(ALBION) ・ジルスチュアート(JILLSTUART) ・アディクション(ADDICTION) ・雪肌精 ・ヴィセ(Visée) |
14 | アモーレパシフィック (Amorepacific) |
韓国 | 約3,500億円 (23.3億ドル) |
・スルファス(Sulwhasoo) ・ラネージュ(LANEIGE) ・イニスフリー(innisfree) ・エチュード(ETUDE) ・ヘラ(HERA) |
15 | プイグ (Puig) |
スペイン | 約2,400億円 (15.8億ドル) |
・カロリーナヘレラ(Carolina Herrera) ・ジャンポールゴルチエ(Jean Paul Gaultier) ・パコラバンヌ(Paco Rabanne) ・シャーロットティルブリー(Charlotte Tilbury) |
16 | LG生活健康 (LG H&H) |
韓国 | 約2,100億円 (14億ドル) |
・フー(O HUI) ・ザ・ヒストリー・オブ・フー(The history of Whoo) ・VDL ・ビヨンド(Beyond) |
17 | レブロン (Revlon) |
アメリカ | 約1,950億円 (13億ドル) |
・レブロン(Revlon) ・エリザベスアーデン(Elizabeth Arden) ・アルメイ(Almay) |
18 | メアリー・ケイ (Mary Kay) |
アメリカ | 約1,800億円 (12億ドル) |
・メアリー・ケイ(Mary Kay) |
19 | バス&ボディワークス (Bath&Body Works) |
アメリカ | 約1,650億円 (11億ドル) |
・バス&ボディワークス(Bath&Body Works) |
20 | ヘンケル (Henkel) |
ドイツ | 約1,500億円 (10億ドル) |
・シュワルツコフ(Schwarzkopf) ・ダイアル(Dial) ・サイオス(Syoss) |
※上記は2024年7月時点のレート(1USD = 150 JPY)で計算
※売上高は各社の化粧品・ビューティー関連部門の数値
化粧品の市場規模
世界の化粧品市場規模
世界の化粧品市場は、2024年には約67兆円(約6,700億ドル)規模に達すると予測されています。パンデミック後の回復により、市場は年平均成長率(CAGR)約4〜5%で成長を続けており、2028年には約82兆円を超えると予想されています。
成長の主な要因:
- アジア太平洋地域(特に中国・インド)の経済成長
- Z世代・ミレニアル世代の美容への関心の高まり
- SNSやインフルエンサーマーケティングの影響力拡大
- サステナブル・クリーンビューティーへの需要増加
- 男性用化粧品市場の拡大
- Eコマースやライブコマースの急速な成長
日本の化粧品市場規模
日本の化粧品市場は、2024年に約2兆7,040億円(TPCマーケティングリサーチ調査)となり、前年比2.6%増の成長を遂げています。
市場規模推移:
年度 | 市場規模 | 前年比 |
---|---|---|
2019年度 | 2兆6,480億円 | – |
2020年度 | 2兆2,350億円 | 84.4% |
2021年度 | 2兆2,900億円 | 102.5% |
2022年度 | 2兆5,200億円 | 110.0% |
2023年度 | 2兆6,350億円 | 104.6% |
2024年度(予測) | 2兆7,040億円 | 102.6% |
2024年の特徴:
- 新型コロナ5類移行による「脱マスク」効果でメイクアップ需要が回復
- 歴史的な円安によるインバウンド需要の急増
- 韓国コスメを中心としたアジアコスメの人気継続
- 高価格帯商品の好調な推移
カテゴリー別割合
世界のカテゴリー別割合
世界の化粧品市場のカテゴリー別内訳(2024年):
- スキンケア: 約40%(最大カテゴリー)
- ヘアケア: 約22%
- メイクアップ: 約19%
- フレグランス: 約12%
- その他(オーラルケア、男性用化粧品等): 約7%
日本のカテゴリー別割合
日本の化粧品市場のカテゴリー別内訳(2024年):
- スキンケア: 約51%(世界平均を大きく上回る)
- ヘアケア: 約20%
- メイクアップ: 約15%
- その他: 約9%
- フレグランス: 約3%
- 男性用化粧品: 約2%
日本市場の特徴として、スキンケアカテゴリーが全体の半分以上を占めており、世界平均と比較して非常に高い割合となっています。一方で、フレグランスや男性用化粧品の割合は世界と比較して低く、今後の成長余地があると言えます。
ランキング上位企業紹介
1位 ロレアル (L’ORÉAL)
企業名 | ロレアル (L’ORÉAL) |
本社 | フランス |
設立 | 1909年7月30日 |
従業員数 | 88,000人以上(2024年) |
売上高 | 約6兆6,800億円(2024年) |
代表ブランド | ・ロレアルパリ ・メイベリンニューヨーク ・ランコム ・イヴ・サンローラン ・キールズ ・アーバンディケイ |
ロレアルは1909年にフランスで創業した世界最大の化粧品メーカーです。2024年も首位の座を堅持し、36以上のブランドを有して150か国以上で事業展開をしています。デジタル化とサステナビリティへの取り組みを強化し、特にアジア市場での成長が顕著です。
2位 ユニリーバ (Unilever)
企業名 | ユニリーバ (Unilever) |
本社 | イギリス |
設立 | 1930年 |
従業員数 | 148,000人(2024年) |
売上高 | 約8兆5,000億円(2024年) (Beauty部門:約3兆9,200億円) |
代表ブランド | ・ダヴ ・ラックス ・ポンズ ・ヴァセリン ・トレセメ |
ユニリーバは世界最大級の消費財メーカーで、毎日190カ国以上で35億人以上が同社製品を使用しています。2024年は特にダヴブランドがSNSで最も多くのフォロワー(4,890万人)を獲得し、デジタルマーケティングで成功を収めています。
3位 エスティーローダー (Estée Lauder)
企業名 | エスティーローダー (Estée Lauder) |
本社 | アメリカ |
設立 | 1946年 |
従業員数 | 62,000人(2024年) |
売上高 | 約2兆2,800億円(2024年) |
代表ブランド | ・エスティーローダー ・クリニーク ・M·A·C ・トムフォードビューティ ・ジョー マローン ロンドン |
エスティーローダーは高品質のスキンケア、メイクアップ、フレグランス製品を提供する世界有数のプレステージビューティー企業です。2024年は中国市場の回復遅れにより成長が鈍化したものの、欧米市場では堅調な業績を維持しています。
4位 プロクター&ギャンブル (P&G)
企業名 | プロクター&ギャンブル (P&G) |
本社 | アメリカ |
設立 | 1837年 |
従業員数 | 106,000人(2024年) |
売上高 | 約12兆3,000億円(2024年) (Beauty部門:約2兆2,500億円) |
代表ブランド | ・SK-II ・オレイ ・パンテーン ・ヘッド&ショルダーズ |
P&Gは1837年に設立された世界最大の一般消費財メーカーです。2024年、Beauty部門ではプレミアムスキンケアブランドSK-IIがアジア市場で好調を維持し、ヘアケア部門も安定した成長を続けています。
2024年の化粧品業界トレンド
- サステナビリティの加速
- リフィル可能な容器の普及
- 生分解性・リサイクル可能な包装材料
- カーボンニュートラルへの取り組み強化
- デジタル革新
- AR/VRを活用したバーチャル試着
- AIによるパーソナライズ化粧品提案
- ライブコマースの急成長(特にアジア市場)
- インクルーシビティの進化
- ジェンダーレス化粧品の拡大
- より幅広い肌色に対応した製品展開
- 年齢を問わないエイジポジティブな商品開発
- ウェルネスとの融合
- 内外美容の統合アプローチ
- CBD配合化粧品の市場拡大
- マイクロバイオーム研究に基づく製品開発
- アジア市場の影響力拡大
- K-ビューティー、J-ビューティーの世界的普及
- 中国発ブランドのグローバル展開
- アジア人の美容習慣の世界標準化
まとめ
2024年の世界化粧品市場は、パンデミックからの完全回復を果たし、新たな成長フェーズに入っています。ロレアルが首位を維持する中、アジア企業の躍進やデジタル化の加速、サステナビリティへの取り組み強化など、業界は大きな変革期を迎えています。
日本市場も2兆7,000億円規模まで回復し、特にインバウンド需要の復活が市場を牽引しています。今後は、テクノロジーとビューティーの融合、パーソナライゼーション、サステナビリティが業界の成長を左右する重要な要素となるでしょう。
本記事は2024年7月時点の公開情報に基づいて作成されています。売上高は各社の化粧品・ビューティー関連部門の数値を使用し、為替レートは1USD=150円で計算しています。