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【2024年版】世界の鉄鋼メーカー 売上ランキング トップ20

【2024年版】世界の鉄鋼メーカー 売上ランキング トップ20

世界の鉄鋼業界は、中国の需要減速や原料価格の変動、環境規制の強化など様々な課題に直面しながらも、2024年も堅調な成長を続けています。この記事では、2024年度の世界の鉄鋼メーカー売上上位20社をまとめました。

※2024年の最新データに基づき、各社の鉄鋼関連部門の売上高をまとめています。為替レートは2024年7月時点(1USD = 150円、1EUR = 165円、1CNY = 21円)で計算しています。

世界の鉄鋼メーカー売上ランキング

順位企業名本社売上高代表ブランド・事業
1China Baowu Group(中国宝武鋼鉄集団)中国約23兆1,700億円
(1兆1,032億元)
・宝鋼(Baosteel)
・武鋼(WISCO)
・馬鋼(Maanshan Steel)
・太鋼(Taiyuan Steel)
2ArcelorMittal(アルセロール・ミッタル)ルクセンブルク約9兆3,600億円
(624億ドル)
・自動車用高張力鋼板
・建設用鋼材
・エネルギー部門向け鋼管
3日本製鉄(Nippon Steel)日本約7兆8,000億円・高級鋼板
・自動車用鋼板
・建設用鋼材
・鉄道用レール
4POSCO(ポスコ)韓国約7兆5,300億円
(72.7兆ウォン)
・自動車用鋼板
・造船用厚板
・エネルギー用鋼管
・ステンレス鋼
5JFEホールディングス日本約4兆3,700億円・JFEスチール
・JFEエンジニアリング
・JFE商事
6Ansteel Group(鞍鋼集団)中国約3兆8,000億円
(1,810億元)
・鞍山鋼鉄
・本渓鋼鉄
・特殊鋼製品
7Tata Steel(タタ・スチール)インド約3兆6,500億円
(2.4兆ルピー)
・Tata Steel Europe
・自動車用鋼板
・建設用鋼材
8HBIS Group(河鋼集団)中国約3兆2,000億円
(1,524億元)
・河北鋼鉄
・唐山鋼鉄
・邯鄲鋼鉄
9Shagang Group(沙鋼集団)中国約2兆8,500億円
(1,357億元)
・江蘇沙鋼
・特殊鋼
・ステンレス鋼
10神戸製鋼所(Kobe Steel)日本約2兆1,000億円・自動車用特殊鋼
・アルミ
・銅製品
・建設機械
・電力事業
11Shougang Group(首鋼集団)中国約2兆3,100億円
(1,100億元)
・首都鋼鉄
・冷延鋼板
・亜鉛めっき鋼板
12JSW Steelインド約2兆2,000億円
(1.5兆ルピー)
・熱延鋼板
・冷延鋼板
・亜鉛めっき鋼板
13Shandong Steel(山東鋼鉄)中国約1兆8,900億円
(900億元)
・済南鋼鉄
・莱蕪鋼鉄
・特殊鋼製品
14Nucor Corporation(ニューコア)アメリカ約1兆8,000億円
(120億ドル)
・電炉鋼
・建設用鋼材
・鋼板製品
15ThyssenKrupp(ティッセンクルップ)ドイツ約1兆6,500億円
(100億ユーロ)
・自動車用鋼板
・エレベーター(売却済)
・特殊鋼
16Gerdau(ゲルダウ)ブラジル約1兆5,000億円
(100億ドル)
・長尺製品
・特殊鋼
・建設用鋼材
17U.S. Steel(USスチール)アメリカ約1兆4,700億円
(98億ドル)
・熱延鋼板
・冷延鋼板
・亜鉛めっき鋼板
18SAIL(インド鉄鋼公社)インド約1兆2,000億円
(8,000億ルピー)
・鉄道用レール
・構造用鋼材
・特殊鋼
19Cleveland-Cliffsアメリカ約1兆800億円
(72億ドル)
・鉄鉱石
・電炉鋼
・自動車用鋼板
20BlueScope Steelオーストラリア約1兆500億円
(70億ドル)
・建材用鋼板
・塗装鋼板
・COLORBOND®

※上記は2024年7月時点のレート(1USD = 150円、1EUR = 165円、1CNY = 21円)で計算 ※売上高は各社の鉄鋼・金属関連部門の数値(一部推計含む)

鉄鋼の市場規模

世界の鉄鋼市場規模

世界の鉄鋼市場は、2024年には粗鋼生産量が約18.8億トンに達し、金額ベースでは約150兆円規模の巨大市場となっています。中国の内需減速により成長率は鈍化したものの、インドや東南アジアなどの新興国での需要増により、市場は引き続き拡大傾向にあります。

成長の主な要因:

  • インド・東南アジアにおけるインフラ投資の拡大
  • 電気自動車(EV)向け特殊鋼の需要増加
  • 再生可能エネルギー設備向け鋼材需要の拡大
  • 脱炭素化に向けた高炉から電炉への転換投資
  • デジタル化・自動化による生産性向上

日本の鉄鋼市場規模

日本の鉄鋼市場は、2024年の粗鋼生産量が約8,700万トンとなり、市場規模は約15兆円となっています。国内需要は建設・土木分野で人手不足による停滞が見られる一方、自動車向けは回復基調にあります。

市場規模推移:

年度粗鋼生産量前年比
2019年度9,843万トン
2020年度8,319万トン84.5%
2021年度9,634万トン115.8%
2022年度8,901万トン92.4%
2023年度8,870万トン99.7%
2024年度(予測)8,700万トン98.1%

2024年の特徴:

  • 自動車メーカーの認証問題からの回復
  • 円安による輸出競争力の向上
  • 高級鋼へのシフトによる付加価値向上
  • 環境対応投資の本格化

カテゴリー別割合

世界のカテゴリー別割合

世界の鉄鋼製品のカテゴリー別内訳(2024年):

  • 建設用鋼材: 約50%(最大カテゴリー)
  • 自動車用鋼材: 約12%
  • 機械・設備用: 約15%
  • エネルギー部門: 約8%
  • 家電・その他: 約8%
  • 造船: 約4%
  • 鉄道: 約3%

日本のカテゴリー別割合

日本の鉄鋼製品のカテゴリー別内訳(2024年):

  • 自動車用: 約20%(世界平均を上回る)
  • 建設用: 約35%
  • 造船: 約8%
  • 産業機械: 約12%
  • 電気機械: 約10%
  • 輸出向け: 約40%

日本市場の特徴として、自動車向けの高級鋼の割合が高く、技術力を活かした高付加価値製品に強みを持っています。

ランキング上位企業紹介

1位 China Baowu Group(中国宝武鋼鉄集団)

項目内容
企業名China Baowu Group(中国宝武鋼鉄集団)
本社中国・上海
設立2016年(宝鋼と武鋼の合併)
従業員数228,000人以上(2024年)
売上高約23兆1,700億円(2024年)
粗鋼生産量1億3,009万トン(2024年)
代表ブランド・宝鋼(Baosteel)
・武鋼(WISCO)
・馬鋼(Maanshan Steel)

China Baowu Groupは2016年に宝山鋼鉄(Baosteel)と武漢鋼鉄(WISCO)の合併により誕生した世界最大の鉄鋼メーカーです。2024年も圧倒的な生産規模で首位を維持し、売上高は1兆元を超えています。脱炭素化に向けた水素還元製鉄技術の開発や電炉の拡大に注力しています。

2位 ArcelorMittal(アルセロール・ミッタル)

項目内容
企業名ArcelorMittal(アルセロール・ミッタル)
本社ルクセンブルク
設立2006年(ArcelorとMittal Steelの合併)
従業員数158,000人(2024年)
売上高約9兆3,600億円(2024年)
粗鋼生産量5,790万トン(2024年)
代表事業・自動車用高張力鋼板
・建設用鋼材
・鉄鉱石採掘

ArcelorMittalは世界15カ国に製鉄所を有し、37の統合製鉄所とミニミルを運営するグローバル企業です。2024年は欧米市場での堅調な需要に支えられ、安定した業績を維持しました。インドのAM/NS Indiaを通じてアジア市場での存在感も高めています。

3位 日本製鉄(Nippon Steel)

項目内容
企業名日本製鉄(Nippon Steel)
本社日本・東京
設立2012年(新日鉄と住友金属の合併)
2019年商号変更
従業員数106,000人(2024年)
売上高約7兆8,000億円(2024年)
粗鋼生産量4,364万トン(2024年)
代表製品・自動車用高張力鋼板
・エネルギー用鋼管
・鉄道用レール

日本製鉄は日本最大、世界第3位の鉄鋼メーカーです。高級鋼分野での技術力に定評があり、自動車用鋼板では世界トップクラスのシェアを誇ります。2024年は国内事業の構造改革を進めるとともに、米国USスチールの買収交渉など海外展開を積極化しています。

4位 POSCO(ポスコ)

項目内容
企業名POSCO(浦項総合製鉄)
本社韓国・浦項
設立1968年
従業員数37,000人(2024年)
売上高約7兆5,300億円(2024年)
粗鋼生産量3,317万トン(2024年)
代表製品・自動車用鋼板
・造船用厚板
・ステンレス鋼

POSCOは韓国最大の鉄鋼メーカーで、高品質な製品と効率的な生産体制で知られています。2024年は世界的な需要減速の影響を受けたものの、インドのJSWグループとの戦略的提携により、成長市場での事業拡大を図っています。

2024年の鉄鋼業界トレンド

  1. 脱炭素化の加速
    • 水素還元製鉄技術の実証実験本格化
    • 電炉(EAF)への転換投資の拡大
    • CCUS(炭素回収・利用・貯留)技術の導入
    • グリーンスチール製品の需要増加
  2. 業界再編の進展
    • 日本製鉄によるUSスチール買収交渉
    • 中国企業の統合・再編の継続
    • インド市場での合弁事業の増加
    • 欧州での事業統合の動き
  3. デジタル革新
    • AI・IoTを活用した生産最適化
    • 予知保全システムの導入拡大
    • デジタルツインによる品質管理
    • ブロックチェーンを活用したサプライチェーン管理
  4. 高付加価値化の推進
    • EV向け電磁鋼板の開発競争
    • 超高張力鋼板の軽量化技術
    • 水素インフラ向け特殊鋼の開発
    • 3Dプリンティング用金属粉末
  5. 地政学的リスクへの対応
    • サプライチェーンの多様化
    • 原料調達先の分散化
    • 地産地消型生産体制の構築
    • 貿易摩擦への対応強化

まとめ

2024年の世界鉄鋼市場は、中国の内需減速や環境規制の強化、原料価格の変動など様々な課題に直面しています。しかし、各社は脱炭素化への投資、デジタル技術の活用、高付加価値製品へのシフトなど、積極的な変革を進めています。

日本の鉄鋼メーカーは、高い技術力を活かした高級鋼分野で競争力を維持しており、特に自動車用鋼板や特殊鋼の分野で世界をリードしています。今後は、環境対応と収益性の両立、グローバル展開の加速が業界の成長を左右する重要な要素となるでしょう。

鉄鋼業界は社会インフラを支える基幹産業として、持続可能な発展に向けた取り組みを続けています。技術革新と環境対応を両立させながら、新たな成長機会を追求する各社の動向に注目が集まります。


本記事は2024年7月時点の公開情報に基づいて作成されています。売上高は各社の鉄鋼・金属関連部門の数値を使用し、為替レートは1USD=150円、1EUR=165円、1CNY=21円で計算しています。

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