【2024年版】世界の通信企業 売上ランキング トップ20
世界の通信企業売上ランキング
順位 | 企業名 | 本社 | 売上高 | 主要サービス・特徴 |
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1 | 中国移動通信 (China Mobile) |
中国 | 約21兆8,600億円 (1兆408億元) |
・世界最大の携帯電話契約者数(10億人以上) ・5Gユーザー5.52億人 ・デジタル変革サービスが急成長 |
2 | ベライゾン (Verizon) |
アメリカ | 約20兆1,000億円 (1,340億ドル) |
・米国最大手の通信事業者 ・5Gネットワークのリーダー ・企業向けソリューションに強み |
3 | AT&T | アメリカ | 約18兆3,800億円 (1,225億ドル) |
・ファイバー網の積極展開 ・5Gカバレッジの拡大 ・コンテンツ事業から撤退し通信に集中 |
4 | ドイツテレコム (Deutsche Telekom) |
ドイツ | 約17兆5,500億円 (1,170億ドル) |
・T-Mobile USの親会社 ・欧州最大級の通信事業者 ・国際展開に積極的 |
5 | NTT (日本電信電話) |
日本 | 約13兆円 (867億ドル) |
・日本最大の通信グループ ・NTTドコモを完全子会社化 ・グローバルデータセンター事業 |
6 | T-Mobile US | アメリカ | 約12兆4,900億円 (833億ドル) |
・米国で最も成長している通信事業者 ・アンキャリア戦略で差別化 ・5G展開で業界をリード |
7 | オレンジ (Orange) |
フランス | 約7兆2,600億円 (440億ユーロ) |
・欧州・アフリカで展開 ・デジタルサービスの強化 ・サイバーセキュリティ事業 |
8 | ボーダフォン (Vodafone) |
イギリス | 約6兆9,000億円 (460億ドル) |
・世界的な通信事業者 ・IoT・企業向けサービス ・アフリカ市場で強いプレゼンス |
9 | 中国電信 (China Telecom) |
中国 | 約6兆3,000億円 (3,000億元) |
・中国第2位の通信事業者 ・クラウドサービスの急成長 ・産業向けデジタルソリューション |
10 | テレフォニカ (Telefónica) |
スペイン | 約5兆7,800億円 (350億ユーロ) |
・スペイン・中南米で展開 ・Movistar、O2ブランド ・デジタル化投資を加速 |
11 | アメリカ・モビル (América Móvil) |
メキシコ | 約5兆5,500億円 (370億ドル) |
・中南米最大の通信事業者 ・Claroブランドで展開 ・25カ国で事業展開 |
12 | 中国聯通 (China Unicom) |
中国 | 約5兆2,500億円 (2,500億元) |
・中国第3位の通信事業者 ・5G産業アプリケーション ・ビッグデータ事業の成長 |
13 | KDDI | 日本 | 約5兆円 (333億ドル) |
・auブランド ・通信とライフデザインの融合 ・金融・エネルギー事業も展開 |
14 | ソフトバンク | 日本 | 約4兆5,000億円 (300億ドル) |
・日本第3位の通信事業者 ・AI・IoTサービスに注力 ・PayPayなどフィンテック展開 |
15 | ブリティッシュ・テレコム (BT Group) |
イギリス | 約4兆1,000億円 (250億ポンド) |
・英国最大の通信事業者 ・光ファイバー網の整備 ・企業向けサービスに強み |
16 | テレコム・イタリア (TIM) |
イタリア | 約2兆4,800億円 (150億ユーロ) |
・イタリア最大手 ・固定・モバイル統合サービス ・ネットワークインフラ事業 |
17 | バーティ・エアテル (Bharti Airtel) |
インド | 約2兆2,500億円 (150億ドル) |
・インド第2位の通信事業者 ・アフリカでも事業展開 ・デジタル決済サービス |
18 | ロジャース・コミュニケーションズ (Rogers) |
カナダ | 約2兆1,000億円 (140億ドル) |
・カナダ最大手の一つ ・ケーブルTV・インターネット ・5Gネットワーク展開 |
19 | ベルカナダ (BCE) |
カナダ | 約1兆8,900億円 (126億ドル) |
・カナダ最大の通信企業 ・メディア事業も展開 ・光ファイバー網の拡大 |
20 | テルストラ (Telstra) |
オーストラリア | 約1兆6,500億円 (110億ドル) |
・オーストラリア最大手 ・5Gカバレッジ率トップ ・アジア太平洋地域で事業展開 |
※売上高は各社の通信サービス関連部門の数値
通信業界の市場規模
世界の通信市場規模
世界の通信市場は、2024年には約170兆円(約1.7兆ドル)規模に達すると予測されています。5Gの本格展開とデジタル変革の加速により、市場は年平均成長率(CAGR)約2.9%で成長を続けており、2028年には約195兆円を超えると予想されています。
成長の主な要因:
- 5Gネットワークの世界的な展開加速
- IoT(モノのインターネット)の急速な普及
- 企業のデジタルトランスフォーメーション需要
- クラウドサービスとエッジコンピューティングの成長
- 新興国市場でのモバイル普及率向上
- 固定ブロードバンド(光ファイバー)への投資拡大
日本の通信市場規模
市場規模
2024年推計
成長率
前年比
5G契約数
普及率約68%
日本市場の特徴:
- 5Gサービスの本格普及期に突入
- 楽天モバイルの参入による競争激化
- 通信料金の値下げ圧力継続
- 非通信事業(金融、エネルギー、コンテンツ)への多角化
- 法人向けソリューション事業の拡大
地域別市場シェア
世界の地域別市場割合
地域 | 市場シェア | 主な特徴 |
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アジア太平洋 | 約42% | 中国・インドの巨大市場、5G展開で世界をリード |
北米 | 約23% | 高ARPU、5G・ファイバー投資が活発 |
欧州 | 約20% | 規制環境の統一、持続可能性への取り組み |
中南米 | 約8% | モバイル中心の成長、デジタル格差の解消 |
中東・アフリカ | 約7% | 急成長市場、モバイルマネーの普及 |
セグメント別割合
セグメント | 割合 | 成長率(CAGR) |
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モバイルサービス | 約55% | 4.3% |
固定ブロードバンド | 約25% | 3.8% |
企業向けサービス | 約15% | 6.2% |
その他(IoT、クラウド等) | 約5% | 15.8% |
ランキング上位企業紹介
1位 中国移動通信 (China Mobile)
企業名 | 中国移動通信 (China Mobile) |
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本社 | 中国・北京 |
設立 | 1997年 |
従業員数 | 約45万人(2024年) |
売上高 | 約21兆8,600億円(2024年) |
主要サービス | ・モバイル通信サービス ・5Gネットワーク ・クラウドサービス ・IoTソリューション ・デジタル変革サービス |
中国移動通信は世界最大の携帯電話事業者で、10億人以上の契約者を擁しています。2024年は5Gユーザーが5.52億人に達し、デジタル変革サービスの収益が前年比9.9%増加しました。特にモバイルクラウドサービスは中国市場でリーディングポジションを維持しています。
2位 ベライゾン (Verizon)
企業名 | ベライゾン (Verizon) |
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本社 | アメリカ・ニューヨーク |
設立 | 1983年(ベル・アトランティックとして) |
従業員数 | 約10.6万人(2024年) |
売上高 | 約20兆1,000億円(2024年) |
主要サービス | ・ワイヤレス通信 ・5Gネットワーク ・固定ブロードバンド(Fios) ・企業向けソリューション ・IoT・エッジコンピューティング |
ベライゾンは米国最大の通信事業者で、ワイヤレス市場で約37%のシェアを持っています。2024年は5Gネットワークの展開を加速し、特に企業向けの5Gソリューションで成長を遂げました。固定無線アクセス(FWA)サービスも好調で、ブロードバンド市場での存在感を高めています。
3位 AT&T
企業名 | AT&T |
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本社 | アメリカ・ダラス |
設立 | 1885年 |
従業員数 | 約16万人(2024年) |
売上高 | 約18兆3,800億円(2024年) |
主要サービス | ・モバイル通信 ・光ファイバーブロードバンド ・5Gネットワーク ・ビジネスソリューション ・サイバーセキュリティ |
AT&Tは140年近い歴史を持つ米国の通信大手です。2024年はメディア事業から撤退し、通信事業に集中する戦略が奏功しました。特に光ファイバー網の拡大に注力し、ファイバー契約者数は前年比17%増加しています。負債削減も順調に進み、財務体質の改善を実現しています。
4位 ドイツテレコム (Deutsche Telekom)
企業名 | ドイツテレコム (Deutsche Telekom) |
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本社 | ドイツ・ボン |
設立 | 1995年(民営化) |
従業員数 | 約20万人(2024年) |
売上高 | 約17兆5,500億円(2024年) |
主要サービス | ・モバイル通信(T-Mobile) ・固定通信 ・クラウド・ITサービス ・IoTソリューション ・サイバーセキュリティ |
ドイツテレコムは欧州最大級の通信事業者で、T-Mobile USを通じて米国市場でも大きな存在感を示しています。2024年は欧州での5G展開を加速し、企業向けデジタルソリューションも好調でした。持続可能性への取り組みでも業界をリードしています。
2024年の通信業界トレンド
1. 5Gの本格普及と6Gへの準備
- 5Gスタンドアロン(SA)ネットワークの展開加速
- ミリ波帯域の活用拡大
- 6G研究開発への投資開始(2030年商用化目標)
- プライベート5Gネットワークの企業導入増加
2. AI・機械学習の活用拡大
- ネットワーク最適化とメンテナンスの自動化
- カスタマーサービスへのAI導入
- 予測分析による設備投資の効率化
- AIを活用した新サービスの開発
3. エッジコンピューティングの成長
- 低遅延サービスの需要増加
- IoTデバイスとの連携強化
- 分散型データ処理の普及
- 通信事業者とクラウド事業者の協業深化
4. サステナビリティへの取り組み強化
- カーボンニュートラル目標の設定
- 再生可能エネルギーの活用拡大
- 省エネ型基地局の導入
- 循環型経済への貢献(端末リサイクル等)
5. 新たなビジネスモデルの探求
- B2B2Xモデルの拡大
- ネットワークスライシングの商用化
- API経済への参入
- デジタルサービスの収益化
地域別の主要動向
アジア太平洋地域
中国:5G基地局数が400万局を突破し、世界最大の5Gネットワークを構築。産業向け5Gアプリケーションが急成長。
日本:Beyond 5G/6Gの研究開発で世界をリード。Open RANの推進で新たなエコシステム構築。
インド:5Gサービスの急速な展開。Jio、Airtelによる積極的な投資でデジタル格差解消へ。
韓国:5G普及率で世界トップクラス。メタバース・XRサービスの商用化で先行。
北米地域
アメリカ:T-Mobileの躍進により競争が激化。固定無線アクセス(FWA)市場が急成長。
カナダ:5Gカバレッジの拡大と光ファイバー網への大規模投資が進行。
欧州地域
EU全体:デジタル単一市場の実現に向けた規制調和。グリーンディール政策に基づく環境対応。
ドイツ:Industry 4.0に向けた産業向け5Gソリューションの開発。
フランス:Orange、Bouygues、SFR、Freeの4社体制で安定的な競争環境。
今後の展望と課題
成長機会
- IoT市場の拡大:2028年までに接続デバイス数が750億台に到達見込み
- 企業のDX需要:クラウド、セキュリティ、AIソリューションへの投資増加
- 新興国市場:アフリカ、東南アジアでのモバイル普及率向上
- 新技術の商用化:衛星通信、量子通信などの次世代技術
課題と対応策
課題 | 影響 | 対応策 |
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設備投資負担 | 5G/光ファイバー展開に巨額投資が必要 | インフラシェアリング、官民連携の推進 |
収益性の低下 | 価格競争によるARPUの減少 | 付加価値サービスの開発、B2B事業の強化 |
技術革新への対応 | AI、クラウド、セキュリティの専門性要求 | 人材育成、戦略的パートナーシップ |
規制・地政学リスク | データローカライゼーション、技術規制 | コンプライアンス強化、多様化戦略 |
環境対応 | エネルギー消費増加、CO2削減要求 | 再エネ活用、省エネ技術の導入 |
まとめ
2024年の世界通信市場は、5Gの本格展開とデジタル変革の波に乗り、着実な成長を遂げています。中国移動通信が売上高で首位を維持する中、米国ではT-Mobileの躍進により競争構造が変化し、欧州・アジアでは各国の特色を活かした成長戦略が展開されています。
日本市場では、NTT、KDDI、ソフトバンクの3社が通信の枠を超えた総合サービス企業への変革を進めており、Beyond 5G/6Gの研究開発でも世界をリードしています。
今後は、AI・IoT・エッジコンピューティングなどの新技術を活用したサービスの創出、企業向けソリューションの強化、そして持続可能な社会への貢献が、通信業界の成長を左右する重要な要素となるでしょう。設備投資負担や収益性の課題はありますが、デジタル社会の基盤インフラとしての通信の重要性はますます高まっており、業界の長期的な成長が期待されます。
本記事は2024年7月時点の公開情報に基づいて作成されています。売上高は各社の通信サービス関連部門の数値を使用し、為替レートは1USD=150円、1EUR=165円、1CNY=21円で計算しています。