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【2024年版】世界の不動産ディベロッパー 売上ランキング トップ20

【2024年版】世界の不動産ディベロッパー 売上ランキング トップ20

世界の不動産業界は、金利上昇や経済の不確実性にもかかわらず、2024年も堅調な成長を続けています。この記事では、2024年度の世界の不動産ディベロッパー売上上位20社をまとめました。

※2024年の最新データに基づき、各社の不動産開発部門の売上高をまとめています。為替レートは2024年7月時点(1USD = 150円、1CNY = 20円)で計算しています。

世界の不動産ディベロッパー売上ランキング

順位 企業名 本社 売上高 主要事業・プロジェクト
1 万科企業
(Vanke)
中国 約10兆768億円
(5,038.4億元)
・住宅開発(中国60都市以上)
・商業施設開発
・物流施設
・長期賃貸住宅
2 プロロジス
(Prologis)
アメリカ 約1兆2,360億円
(82.4億ドル)
・物流施設開発・運営
・19カ国で12億平方フィート
・データセンター開発
3 CBRE
(CBRE Group)
アメリカ 約1兆2,000億円
(80億ドル)
・不動産仲介・管理
・プロジェクトマネジメント
・投資マネジメント
4 保利不動産
(Poly Real Estate)
中国 約7,720億円
(386億元)
・住宅開発
・商業施設
・中国主要都市で展開
5 アメリカンタワー
(American Tower)
アメリカ 約7,560億円
(50.4億ドル)
・通信インフラ不動産
・226百万平方フィート
・世界中で22.6万基の通信塔
6 エクイニクス
(Equinix)
アメリカ 約7,200億円
(48億ドル)
・データセンター特化型REIT
・33カ国260データセンター
・5大陸で展開
7 JLL
(Jones Lang LaSalle)
アメリカ 約6,000億円
(40億ドル)
・不動産仲介・管理
・プロジェクトマネジメント
・投資マネジメント
8 ウェルタワー
(Welltower)
アメリカ 約5,250億円
(35億ドル)
・ヘルスケア不動産特化
・シニア住宅
・医療施設
9 サイモン・プロパティ
(Simon Property)
アメリカ 約4,800億円
(32億ドル)
・商業施設REIT
・245百万平方フィート
・プレミアムアウトレット
10 デジタルリアルティ
(Digital Realty)
アメリカ 約4,200億円
(28億ドル)
・データセンター開発・運営
・26カ国290以上のデータセンター
・6大陸で展開
11 クラウンキャッスル
(Crown Castle)
アメリカ 約3,900億円
(26億ドル)
・通信インフラ不動産
・4万基以上の通信塔
・85,000ルートマイルのファイバー
12 クッシュマン&ウェイクフィールド
(Cushman & Wakefield)
アメリカ 約3,600億円
(24億ドル)
・不動産仲介・管理
・プロジェクトマネジメント
・60カ国以上で展開
13 ブルックフィールド
(Brookfield)
カナダ 約3,300億円
(22億ドル)
・オフィス、商業施設
・インフラ投資
・グローバル展開
14 ブラックストーン
(Blackstone)
アメリカ 約3,000億円
(20億ドル)
・不動産投資
・物流施設
・住宅開発
15 三菱地所
(Mitsubishi Estate)
日本 約2,800億円 ・丸の内エリア開発
・海外不動産投資
・商業施設運営
16 DLF
(Delhi Land & Finance)
インド 約2,400億円
(7,994億ルピー)
・インド最大の不動産開発
・住宅・商業施設
・グルガオン開発
17 コリアーズ
(Colliers)
カナダ 約2,200億円
(14.7億ドル)
・不動産仲介・管理
・68カ国で展開
・22,000人の専門家
18 グッドマン
(Goodman Group)
オーストラリア 約2,100億円
(14億ドル)
・産業用不動産
・物流施設開発
・アジア太平洋で展開
19 レンドリース
(Lendlease)
オーストラリア 約1,950億円
(13億ドル)
・都市開発
・建設事業
・インフラ開発
20 ESR
(ESR Group)
香港 約1,800億円
(12億ドル)
・アジア太平洋最大の不動産企業
・物流施設・データセンター
・サステナブル開発

※上記は2024年7月時点のレート(1USD = 150円、1CNY = 20円)で計算
※売上高は各社の不動産開発・運営関連部門の数値

不動産市場の市場規模

世界の不動産市場規模

世界の不動産市場は、2024年には約5,800兆円(約379.5兆ドル)規模に達すると予測されています。金利上昇の影響を受けながらも、市場は年平均成長率(CAGR)約3〜4%で成長を続けており、2028年には約6,500兆円を超えると予想されています。

成長の主な要因:

  • アジア太平洋地域(特に中国・インド)の都市化進展
  • データセンター・物流施設需要の急増
  • ヘルスケア不動産への投資拡大
  • ESG投資・グリーンビルディングへの需要増加
  • テクノロジーを活用したプロップテックの進化
  • リモートワーク定着による不動産ニーズの多様化

日本の不動産市場規模

日本の不動産市場は、2024年に約47兆円となり、前年比3.5%増の成長を遂げています。

年度 市場規模 前年比
2019年度 46兆2,000億円
2020年度 43兆5,000億円 94.2%
2021年度 44兆1,000億円 101.4%
2022年度 45兆2,000億円 102.5%
2023年度 45兆4,000億円 100.4%
2024年度(予測) 47兆円 103.5%

2024年の特徴:

  • 東京都心のオフィス需要回復
  • 物流施設・データセンター投資の活発化
  • 外国人投資家の日本不動産への関心継続
  • 地方都市での再開発プロジェクト増加

カテゴリー別割合

世界のカテゴリー別割合

世界の不動産市場のカテゴリー別内訳(2024年):

  • 住宅不動産: 約76%(最大カテゴリー)
  • 商業不動産: 約13%
  • 産業・物流不動産: 約6%
  • 農地: 約3%
  • その他(インフラ等): 約2%

日本のカテゴリー別割合

日本の不動産市場のカテゴリー別内訳(2024年):

  • 住宅不動産: 約65%
  • 商業不動産: 約20%
  • オフィス: 約10%
  • 物流・産業施設: 約3%
  • その他: 約2%

日本市場の特徴として、住宅不動産が全体の約3分の2を占めており、商業不動産の割合も世界平均より高くなっています。一方で、物流・産業施設の割合は世界と比較して低く、今後の成長余地があると言えます。

ランキング上位企業紹介

1位 万科企業 (Vanke)

企業名 万科企業 (Vanke)
本社 中国・深圳
設立 1988年
従業員数 約140,000人(2024年)
売上高 約10兆768億円(2024年)
主要事業 ・住宅開発
・商業施設開発
・物流施設
・長期賃貸住宅
・物業管理(Onewo)

万科企業は1988年に王石によって設立された中国最大級の不動産開発企業です。中国60都市以上で事業を展開し、住宅販売では過去5年間常にトップ3に入っています。2024年は中国不動産市場の調整局面にありながらも、保守的な経営戦略により比較的健全な財務状況を維持しています。

2位 プロロジス (Prologis)

企業名 プロロジス (Prologis)
本社 アメリカ・サンフランシスコ
設立 1983年
従業員数 約2,500人(2024年)
売上高 約1兆2,360億円(2024年)
主要事業 ・物流施設開発・運営
・19カ国で展開
・12億平方フィートの物流不動産
・データセンター開発

プロロジスは世界最大の物流不動産企業で、時価総額1,037億ドルを誇ります。世界のGDPの2.8%がプロロジスの配送センターを経由しており、eコマースの成長とともに事業を拡大しています。2024年はデータセンター開発にも注力し、250億ドル規模の開発部門を展開しています。

3位 CBRE (CBRE Group)

企業名 CBRE (CBRE Group)
本社 アメリカ・ダラス
設立 1906年
従業員数 140,000人以上(2024年)
売上高 約1兆2,000億円(2024年)
主要事業 ・不動産仲介(世界シェア24%)
・プロパティマネジメント
・プロジェクトマネジメント
・投資マネジメント

CBREは世界最大の商業不動産サービス企業で、2023年の売上高に基づくFortune 500企業です。100カ国以上でサービスを提供し、13年連続で世界の商業不動産投資販売でトップシェアを維持しています。2024年はAIやデジタル技術への投資を強化し、10億平方フィートの不動産でAI建物管理技術を展開しています。

4位 保利不動産 (Poly Real Estate)

企業名 保利不動産 (Poly Real Estate)
本社 中国・広州
設立 1992年
従業員数 約50,000人(2024年)
売上高 約7,720億円(2024年)
主要事業 ・住宅開発
・商業施設開発
・文化・観光不動産
・中国100都市以上で展開

保利不動産は2023年に中国で最も活発な不動産開発企業となり、約3,860億元の販売収入を記録しました。国有企業背景を持ち、中国全土で大規模な開発プロジェクトを展開しています。文化施設や観光施設の開発にも注力しており、多角的な事業展開を行っています。

2024年の不動産業界トレンド

  1. データセンター・物流施設への投資加速
    • AI・クラウドコンピューティング需要の急増
    • eコマース成長による物流施設需要
    • ハイパースケールデータセンターの開発競争
  2. サステナビリティ・ESGの主流化
    • グリーンビルディング認証の標準化
    • カーボンニュートラル達成への取り組み
    • ESG投資基準の厳格化
  3. テクノロジー革新
    • AI・機械学習による不動産管理の効率化
    • デジタルツインの活用拡大
    • ブロックチェーンによる取引の透明化
  4. 金利環境への適応
    • 高金利環境での投資戦略の見直し
    • 資金調達手法の多様化
    • リファイナンスリスクへの対応
  5. アジア太平洋地域の成長
    • 中国・インドの都市化進展
    • 東南アジアでの不動産投資拡大
    • 日本不動産への外国人投資継続
  6. ヘルスケア・シニア住宅の拡大
    • 高齢化社会に対応した施設開発
    • 医療施設の高度化・専門化
    • ウェルネス志向の住宅開発

まとめ

2024年の世界不動産市場は、金利上昇や経済の不確実性という逆風の中でも、テクノロジーの進化と新たな需要の創出により成長を続けています。中国の万科企業が売上高で首位を維持する一方、米国のプロロジスやCBREなどが物流施設やデータセンターといった成長分野で存在感を示しています。

日本市場も47兆円規模まで回復し、特に物流施設やデータセンターへの投資が活発化しています。今後は、AI・デジタル技術の活用、サステナビリティへの対応、そしてアジア太平洋地域での成長が業界の発展を左右する重要な要素となるでしょう。

不動産業界は、単なる「場所」の提供から、テクノロジーを活用した「体験」と「価値」の創造へと進化を続けており、この変革の波に乗れる企業が次世代のリーダーとなることが予想されます。

本記事は2024年7月時点の公開情報に基づいて作成されています。売上高は各社の不動産開発・運営関連部門の数値を使用し、為替レートは1USD=150円、1CNY=20円で計算しています。

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